「高野山」壇上伽藍とは?
「高野山」は和歌山県にある日本の重要な聖地で、密教の総本山です。弘法大師によって平安時代初期に開かれました。壇上伽藍は高野山の中心的な建造物で、密教思想の曼荼羅を表現しています。金剛峯寺はお大師さまによって名付けられ、広大な境内を持つ総本山。高野山全体がお寺として知られています。
壇上伽藍の正しい回り方と所要時間、見どころを解説
高野山壇上伽藍は密教の寺院群から成り立ち、その巡礼は歴史的で宗教的な価値があります。正しい巡礼方法を説明していきましょう。
壇上伽藍では、「右遶(うにょう)」と呼ばれる公式な参拝方法があります。これは右肩を金堂の仏像に向け、時計回り(右回り)に巡る方法で、清浄とされる右手を使うインドの礼拝方法に由来します。この方法はチベット仏教でも重要で、時計回りにマニ車を回すことが功徳を積む行為です。なお、巡礼の希望時間は目安であり、各寺院での滞在時間や歩行ペースによって異なります。
壇上伽藍の巡り方は以下の通りです。
大門→中門→金堂→六角経蔵→御社→西塔→御影堂→三鈷の松→根本大塔→不動堂→東塔
このコースには季節ごとに異なる美しい庭園も含まれており、季節に応じて異なる景色を楽しむことができます。また、所要時間は目安であり、自分のペースに合わせて進行することができます。高野山大門からスタートして、壇上伽藍をゆっくり巡ってみましょう。
https://otent-nankai.jp/system/upload/basic/2019/koyasan_map.pdf
壇上伽藍の見どころ1「大門」
高野山の総門で、高さ25.8メートル5間重層の大楼門。大門の両脚に構える高さ4.8mの力強い金剛力士像は、阿形像を仏師康意が、吽形像を法橋運長が造ったとされています。ここからの眺めがよく、晴れた日には山並みの向こうに紀淡海峡や淡路島が眺望できます。
壇上伽藍の見どころ2「中門」
中門は、1843年の火災で焼失し、開創から1200年の節目になる172年ぶりに再建されました。この再建により、持国天と多聞天に加えて新しい広目天と増長天が加わり、四天王が揃った特別な場所です。中門は壇上伽藍内でも重要な建造物で、日本の伝統的な寺院建築様式を象徴しています。美しい彫刻や日本の木造装飾が特徴で、ここで伝統的な寺院建築と高度な工芸技術を鑑賞することができます。再建された中門は、高野山の歴史と美しさを称賛する場所として訪れる価値があるでしょう。
壇上伽藍の見どころ3 「金堂」
開創当初は「講堂」と呼ばれ、その後平安時代半ばから高野山の総本堂となりました。この建物は歴史的に七度も再建され、最新のものは1932年に完成しました。
この総本堂には秘仏である本尊の薬師如来像が安置されており、これは仏師・高村光雲によるものです。普段は秘仏として一般には公開されていませんが、その周りには美しい色彩の6体の仏像や木村武山による壁画が配置されています。これらの芸術作品を鑑賞することができます。高野山の歴史と美術の宝庫として、訪れる価値があるでしょう。
・拝観時間:8:30~17:00
・拝観料:中学生以上 500円、小学生以下 無料
壇上伽藍の見どころ4 「六角経蔵」
この建物は、鳥羽法皇の菩提を追悼し、彼のために「一切経」を収めるために建てられました。現在の建物は1934年に再建され、特徴的な把手が取り付けられ、回すことができるようになっています。一回りすると、一切経を読むのと同じ功徳が得られるとされています。この建物は鳥羽法皇への敬意と宗教的な意味を持つ場所で、一切経を回すことで特別な精神的な価値があると信じられているのです。
壇上伽藍の見どころ5 「御社」
一宮には丹生明神、二宮には高野明神、三宮には十二王子と百二十伴神が祀られています。社殿は1594年に再建され、現在では重要文化財として指定されています。これらの神社は重要な宗教的な場所であり、歴史的な価値を持つ建造物でもあります。
壇上伽藍の見どころ6 「西塔」
根本大塔は、密教の世界観を具体的に表現するために建てられた二つの塔のうちの一つです。本尊として金剛界大日如来が祀られ、その周囲には胎蔵界の四仏が安置されています。現在のこの塔は1834年に再建され、擬宝珠(ぎほうじゅ)と高欄が特徴的な多宝塔となっています。密教の象徴として高野山で重要な存在であり、その建物自体が宗教的な意味を持つ美しい構造です。
壇上伽藍の見どころ7 「御影堂」
高野山内には、弘法大師御影像が祀られており、これは高野山でも特に重要な聖域です。この聖域では、最近では旧暦3月21日に行われる「旧正御影供」という特別な儀式の前夜にのみ、一般の人々が外陣へ参拝することが許されています。弘法大師御影像への尊敬と崇敬がこの場所に根付いており、その特別な機会に訪れることができるのです。
壇上伽藍の見どころ8 「三鈷の松」
空海が唐から日本に帰国する際、密教の縁を求めて三鈷杵を明州の浜から投げました。驚くことに、この三鈷杵が高野山の松に引っかかり、それが高野山を開くきっかけとなったとされています。この三鈷杵と同じ三葉の松が高野山に生えていたことから、参拝者が縁起物として持ち帰るようになりました。
壇上伽藍の見どころ9 「根本大塔」
この建物は、弘法大師と真然大徳の2代にわたる努力により、816年から887年ごろに完成したと伝えられています。本尊は胎蔵界大日如来で、その周りには金剛界四仏が配置され、16本の柱には堂本印象による十六大菩薩が描かれています。これにより、建物内部は曼荼羅のような構造になっており、真言密教の教えが図解されているのです。中央には大日如来が中心に配置され、金剛界四仏が取り囲み、柱には大菩薩像が描かれています。建物内部を一周することで、荘厳で立体的な曼荼羅の世界を体験できるはずです。
・拝観時間: 8:30~17:00
・拝観料:中学生以上 500円、小学生以下 無料
壇上伽藍の見どころ10 「不動堂」
このお堂は、一心院谷から移築されたものです。興味深いことに、このお堂の四隅の形が異なっており、それは四人の工匠が自由に建てたためとも言われています。お堂の本尊は不動明王であり、運慶によって作られた八大童子像もここにあります。これらの貴重な彫刻は高野山霊宝館に保管されているのです。
壇上伽藍の見どころ11 「東塔」
白河院の発願により、1127年に建立されたお堂がありましたが、1843年に火災で失われました。その後、長らく再建されることはありませんでしたが、140年後の1984年になってようやく再建されたのです。この再建は長い年月を経て実現し、お堂の歴史が蘇りました。
御朱印は根本大塔と金堂で2種類いただける
御朱印を入手できる場所は、「金堂」の隣に位置する大きな鐘の手前にある御経所です。御朱印をいただける時間帯は、根本大塔と金堂の参拝時間と同じ。つまり、これらの場所の参拝時間に合わせて、御朱印を受けることができます。
・午前8時30分〜午後5時。料金は各300円。
・御朱印時間:午前8時30分~午後5時
壇上伽藍の拝観料金は?
金堂と根本大塔の内部を見るためには、どちらも500円の拝観料が必要です。また、拝観料には割引クーポンも提供されています。南海電鉄を利用して高野山に行く場合、特別な「高野山・世界遺産きっぷ」を購入すると、金堂と根本大塔の拝観料が通常の2割引きで160円になり、40円もお得になります。
・南海電鉄「高野山・世界遺産きっぷ」
https://www.nankai.co.jp/traffic/otoku/koyasan.html
「高野山・世界遺産きっぷ」が販売期間に該当しない場合、おすすめの選択肢に「高野山参詣講待遇之証」があります。この券は金剛峯寺、霊宝館、壇上伽藍(大塔と金堂)、そして徳川家霊の拝観料を含む合計2200円相当の価値があるものを、1500円で拝観できるお得なチケットです。
この券には使用期限がないため、いつでも利用できます。高野山を訪れる際に、金剛峯寺を含む多くの場所をお得に見学したい方にはおすすめです。このチケットは高野山の観光案内所や壇上伽藍の御朱印受付でも購入できます。
また、スマホで便利に使える「高野山・世界遺産デジタルきっぷ」は通年販売されており、拝観施設の割引サービスも提供されているので、こちらもご確認ください。
・南海電鉄「高野山・世界遺産デジタルきっぷ」
https://www.nankai.co.jp/traffic/digital/koyasan.html
壇上伽藍へのアクセス、駐車場は?
・南海りんかんバス千手院(東)バス停 徒歩4分
・高野山真言宗総本山金剛峯寺駐車場:中門前駐車場 無料 18台、金剛峯寺前駐車場 無料 39台
まとめ
高野山への旅は、日本仏教の重要な聖地であるこの場所の歴史と宗教的な価値を感じる絶好の機会です。壇上伽藍内には見どころがたくさんあり、正しい巡礼方法を実践することで、宗教的な深みを味わえます。
事前に高野町観光協会に確認することがおすすめです。
この記事のクリエイター
野口千惠
地方新聞社元記者の経験を生かして、南海沿線沿い及び和歌山と泉州の情報発信で活性化を目指しています。まちづくりが生きがい。
地方新聞社元記者の経験を生かして、南海沿線沿い及び和歌山と泉州の情報発信で活性化を目指しています。まちづくりが生きがい。