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館長と巡る!体験することで歴史を学ぶ「河内長野市立ふるさと歴史学習館」

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館長と巡る!体験することで歴史を学ぶ「河内長野市立ふるさと歴史学習館」
未来*Miku
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watch 2024.10.7

今回は、河内長野市にある「ふるさと歴史学習館」に取材に行って来ました。

河内長野の歴史を体験しながら学べる「ふるさと歴史学習館」。館長の太田さんに施設の魅力をたっぷりお伺いしてきました!この「ふるさと歴史学習館」がある河内長野市は、今年市制施行70周年を迎えたとてもホットな市。市の魅力は、緑豊かな山々やおいしい空気などの自然だけではありません!実は歴史、とりわけ中世の文化財が多く残っており、「中世に出逢えるまち」として日本遺産の認定を受けて、魅力を広げています。

そんな河内長野市に30年以上住んでいた地域発見クリエイターズ課の私が、まだまだ知らない河内長野市の魅力や歴史を探しに行くべく「ふるさと歴史学習館」へお伺いしました。見たり、聞いたりするだけでなく、触れたり、体験したりすることで歴史を学ぶ楽しさを存分に感じてきたので、記事ではこの楽しさをお伝えできればと思います。ちなみに文化財とは、我が国の長い歴史の中で生まれ育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な建物や美術品、技術、生活や習わしなどのこと。文化財があるから昔の人たちの暮らしを現代に生きる私たちが知ることができるのですね。

「ふるさと歴史学習館」ってこんな場所!

「ふるさと歴史学習館」は、平成23年4月にリニューアルオープンした、河内長野の歴史や文化を学習・体験することができる施設です。なんと入館料無料!

以前は「ふれあい考古館」という名前で、主に埋蔵文化財の調査や記録、保管などをする施設でした。一部展示もありましたが、展示をより強化することで、河内長野市の歴史や文化に触れ、文化財に親しんでもらえたらと、改修しリニューアルされたそうです。

歴史や文化財って楽しいと感じてもらえるよう、“体験”にとても力を入れているとのこと。子どもが楽しめる体験イベントを多く開催されているのが印象的でした。

今回取材させていただいた館長さんをご紹介!

ふるさと歴史学習館 館長 太田 宏明さん

太田さんは元々考古学を専攻しており、遺跡の発掘調査をする専門職として平成10年から河内長野市で働かれています。遺跡の発掘調査だけでなく、有形文化財の調査や文化財の修理に携わったり、市民向けに歴史や文化財の講座を行ったりと、幅広く活躍されてきました。その経験から、昨年度より「ふるさと歴史学習館」の館長に就任されています。

「ふるさと歴史学習館」は何のためにあるのか?

「文化財を大切に保管することはもちろんですが、刻々と変化する社会状況や周辺環境などに柔軟に対応しながら、館や文化財の役割を考えて活動を行っています。」と太田さん。今、力を入れていることとして3つのことをお話ししてくださいました。

  1. 子どもたちの教育のために

小学校、中学校、高校での学校教育では、近年“探究”という視点が盛り込まれ、生徒が自身で課題を見つけ、みじかな社会にあるものなどを使いながら自ら整理・分析して、勉強していくという取り組みが始まっています。この「ふるさと歴史学習館」では、校外学習として館に来てもらったり、職員の方が各学校に館蔵品を持っていき出前授業をしたりして、子どもたちの教育を支援しています。

  1. 地域住民のまちづくりのために

河内長野市では、地域まちづくり協議会というものを発足し、地域の課題を地域自ら解決していこうという取り組みが行われています。地域の資産である文化財の情報が一番集まってくる場所として、地域住民に地域のことを知ってもらい、まちづくりに生かしていただけるようお手伝いしています。

  1. 市外から遊びに来てくれる方々の観光のために

「ふるさと歴史学習館」があるエリアは、奥河内くろまろの郷や花の文化園、木根館など家族で楽しめるスポットが充実しており、いわば河内長野市外から来た人が一日遊べるエリア!河内長野市の歴史や文化を楽しく学べる場所として、展示や子どもが楽しめる体験メニューを充実させています。このエリアに遊びに来られた際はぜひ館にも足を運んでみてください!

「ふるさと歴史学習館」の強みは幅広い世代に来ていただけること!

歴史が好き、文化財が好きという方はシニア層の方が圧倒的に多いですが、この館は、近くに奥河内くろまろの郷や花の文化園があることもあり、幅広い世代の方がご来館されるそう。「その幅広い世代に向けて、情報を発信し、コンテンツを提供できるのが、この館の強みです。」と太田さんはおっしゃいます。

今年の夏休みには、河内長野市にある金剛寺や観心寺にちなんだミニチュアジオラマ作りの工作体験を実施されたそう。なんとこの工作体験、子どもは職員の方と一緒にジオラマを作り、保護者の方は別室でジオラマにまつわる歴史や文化遺産についての講座を聞くという、親子それぞれ歴史に触れられるもの。自宅に帰った後も、ジオラマを見ながら講座での話や作った感想など親子で歴史の話に花が咲く素敵な体験イベントだなと思いました。

「ふるさと歴史学習館」を巡ろう!まずは常設展示!河内長野の今昔を感じてみよう。

1954年に河内長野市が誕生してから、今年で70年。常設展示では、近現代から遥か昔の原始時代までの河内長野の歴史や様子を学ぶことができます。河内長野市は発掘調査で出てきた埋蔵文化財や日本人が生活の中で使っていた道具などの民俗文化財を多く所持しているというだけあって、その時代その時代での人の暮らしが分かるものがたくさん展示されていました。今の暮らしとどんなところが違うのかと考えながら展示を見ると、発見や驚きがいっぱいでした。

館長に聞きました!常設展示はココに注目!

「河内長野市では、中世の時代(平安時代後半から戦国時代くらいまで)の文化財が多く見つかっています。なんと全国の市町村の中で20位以内に入るほど、文化財をたくさん持っています。河内長野市のウリである中世の文化財をぜひご覧ください。」

常設展示の最後では、綿繰りを体験しました!

糸車
綿繰り機

江戸時代に盛んに作られていた河内地方の特産品である「河内木綿」。残念ながら今では作られていないそうですが、せっかくの歴史を残していこうと、「ふるさと歴史学習館」では種から綿を育て、綿が糸になるまでの工程を展示しています。私は、綿繰り機で綿と種を分ける作業を体験させていただきました。触ってみて初めてふわふわの綿の中に固い種があることを知りました。手作業で綿を糸にするのは時間もかかりとても大変なことだったのだろうなと感じ、昔の人ってすごいと身に染みて感じた体験でした。

次は企画展!テーマに沿った特別な展示を楽しもう。

「来ていただく度に違うものを見ていただきたい」という思いから、企画展では年間3回、毎回一つのテーマを決めて特別な展示を行っているそうです。取材にお伺いした時は「KOYA KAIDO STORY 〜かわちながのでひとやすみ〜」という企画展が開催されていました。(2024年9月29日まで。11月2日からは新しい企画展がスタート。)

高野街道とは、京都と高野山を結ぶ参詣道。その高野街道と河内長野のつながりをいろいろな展示で知ることができました。

展示の目玉は、市の指定文化財である三日市の宿場町に掲げられていた高札!高札とはお触書きを掲示するもので、江戸時代に掲げられていたものが今でもきれいに残っており文字まで読むことができ驚きました。

南海高野線沿いにある高野街道には今でも趣きのある古い街並みが残っているところがあります。この企画展で見たものを思い出しながら、高野街道を歩いてみるのも楽しそうです。

宿場町として賑わっていた三日市宿の様子を再現した模型は、なんと職員の方の手作り!とても細かく見応えがありました。
子どもも楽しめるミニゲームもありました!ボールを転がしながら、高野参詣でどのような場所を通っていたのかを楽しく学べました。

次の企画展は、観心寺をテーマに中世の世界に迫る!

2024年11月2日からは観心寺をテーマにした企画展がスタートします。

河内長野市は、天野山金剛寺周辺、高野街道沿い、観心寺周辺と3つの地域に、非常に多くの中世の文化財が残っているそう。河内長野市が世界に誇るこの3つの地域を順番に企画展にされているとのことで、次回はラスト「観心寺」をテーマにした企画展になります。「中世の文化というと、馴染みがなく想像がしにくいと思いますが、この展示を見ていただくことで日本の中世ってこんな世界だったのかと分かる展示にしていきたいです」と太田さんが意気込みを語ってくださいました。現在の日本の伝統や日本らしさは江戸時代に作られたものが多い中、それとは全く異なる中世の考え方や暮らしが楽しめそうですね。

昨年開催された天野山金剛寺をテーマにした企画展で展示されていた模型

企画展に込められた思いとは?

「小学校に出前授業に行き、歴史が好きな人?と聞くと、6割くらい手が上がります。シニア世代も歴史や文化財を好きな方は多い。でもその間の世代は、歴史や文化財と距離がある人が多いように思います。大学生になったり、就職したり、家族を持ったりすると忙しくなって生活することが中心になり、歴史や文化財からはどうしても遠のいてしまうんですよね。そういう人にこそ、来ていただきたいという思いが強くあります。」と太田さん。若い方や子育て世代など、これからまちの将来を担っていかれる方も楽しんでほしいという思いで、企画展の展示を考え、作り上げていらっしゃるそうです。「館での展示を見ていただき、それをきっかけに河内長野市ってすごいところだなと感じてもらい、この市のために自分は何ができるだろうと考えたり、地域のいろいろな活動に参加してもらいたいです。そういう入り口になれるような企画展をやっていきたいと思っています。」とおっしゃっていました。

最後に、歴史体験!型紙のしおり作りに挑戦してきました!

型紙のしおり(80円)
勾玉(350円)・ミニ石包丁(150円)

「ふるさと歴史学習館」では、勾玉・ミニ石包丁・型紙のしおりという3つの歴史体験を毎日体験することができます。10時30分・13時30分・15時30分からと一日三回、予約優先なので、体験をしてみたい方は事前に電話予約をお忘れなく!

今回私が挑戦したのは型紙のしおり作り!なんと1枚80円で体験できます。

型紙とは、染物の柄を作るもとになるもの。昔は、彫り師さんが型紙をもとに柄を彫り、それを染めて着物や布団の生地を作っていたそうです。河内木綿が盛んに作られていたこともあり「ふるさと歴史学習館」では河内木綿を染め上げる染物屋の型紙が多く保管されています。型紙のしおり作りでは15種類の型紙の中から一つ選ぶことができます。私は、可愛らしいけれど簡単にできるということで「麻の葉」の型紙を選びました。

柿渋を染み込ませた和紙の型紙をアートナイフで一つひとつ切っていきます。三角の内角の部分は少し苦戦しましたが、スタッフの方がコツを教えてくださり、何とか1時間ほどで完成!切った型紙の裏に色画用紙を貼っていただくと、綺麗な麻の葉の柄が浮かび上がってきました。ものづくりの楽しさや大変さは、実際にやってみてこそ分かるのだなと感じました。

「ふるさと歴史学習館」では、歴史体験以外にも様々な体験イベントが行われています。親子で歴史体験ができるものや毎年GWには遺跡発掘体験も開催されているそう。今後の体験イベント情報などは、Instagram(@kawachinagano_citymuseum)でぜひチェックしてください!

館長に聞きました!歴史体験に込められた思いとは?

「歴史体験のメニューにある勾玉や石包丁は、実際に河内長野市でも見つかっており、常設展示にも展示されています。館では1600枚を超える染物屋の型紙を所蔵しています。このように館で展示しているものや所蔵しているものを体験で作ることができるようにしています。歴史体験はお子さんが利用されることがとても多いです。子どもに歴史や文化財について勉強しなさいと言ってもハードルが高いですよね。そういう時はまず体験から。体験を通して歴史に触れる楽しさを感じてもらい、少しずつ難しいことも勉強していってもらえれば嬉しいです。」

館長が語る!これからの「ふるさと歴史学習館」と河内長野市の魅力

「ふるさと歴史学習館」の未来

幅広い世代の方に来ていただける、歴史好き以外の方にも楽しんでいただける館になっていきたいです。子育て世代のお父さん、お母さんは歴史から遠ざかっている世代。子どもだけでなく、そんな親御さんにも楽しんでいただけて「ここに来ると歴史が好きになる」そんな館を目指しています。

河内長野市は、元々河内長野市に住んでいる方よりも別のところから移住してきた方が多いまちです。子どもにまちの中にある文化財や史跡、名所のことを聞かれても、親御さんも分からないことがあるのではないでしょうか。親子で河内長野市について、歴史について語っていただけるようになってもらえればという思いで、館では歴史体験やたくさんの体験イベントを行っています。ただ体験はあくまで入口です。この体験を通じて、「ふるさと歴史学習館」という場所を知っていただき、次は展示を見たり、講座を聞いたり、勉強をしに来ようという気持ちになってもらえたら嬉しいです。人と歴史の橋渡しができるよう、これからも館の活動に力を入れていきます。

館長が感じる河内長野市の魅力とは?

自然が豊かで空気がおいしい、まちがきれい、難波まで電車で30分と利便性も良い。河内長野市の魅力はたくさんありますが、その中でも河内長野市のオンリー1の魅力は、文化財だと思います。とりわけ中世の文化財に関しては、古文書や美術工芸品、遺跡もあるし、山城や巨大寺院や神社の建築物もあります。ほとんどのジャンルの中世の文化財が揃っています。河内長野市は戦災にあっていないので、文化財が非常によく残っているんです。中世の文化財は他の市にも負けないと自信を持って言えます!

河内長野市でぜひ足を運んでほしいスポットは?

河内長野市には、中世の寺院である金剛寺、観心寺があります。文化財もたくさんあるので、この2つの寺院はぜひ訪れていただきたいです。

河内長野市へ移住を考えている方へのメッセージ

河内長野市は、文化的な環境が整っているまちです。歴史・文化財が豊富で、図書館や公民館、この館のような学習施設など文化施設が非常に充実しています。文化的な環境で子育てをしたい方には本当におすすめです。

また非常に犯罪の発生率が低いまちなので、安心して暮らすことができます。「財布を落としたけど届いていた」「自転車の鍵をかけ忘れたけど取られたりしない」こういう話を本当によく聞きます。安心・安全のまちです。

私も河内長野市へは移住してきました。暮らしていて、高野街道でいろいろな人を受け入れていた影響なのか、よそから来た人にも親切で、とてもオープンなまちだなと感じています。移住者にとって居心地の良いまちだと思います!

取材を終えて

今回「ふるさと歴史学習館」でたくさんの展示を見たり体験をしたりし、太田館長にお話もお伺いして、発見や気づきがたくさんありました。昔河内長野で暮らしていた人たちが使っていたものを見ると、今との違いに驚きました。型紙を切る体験では、昔の職人さんの技術力の高さや大変さを実感しました。実際に触れたり体験したりする経験が、歴史を身近に感じさせてくれるのですね。まさに館長がおっしゃっていた人と歴史をつなぐ橋渡し!最近歴史や文化財から遠ざかっているかもしれないと感じた方、河内長野のことをもっと知りたい方、ぜひ「ふるさと歴史学習館」へ行ってみてください。歴史や文化財との素敵な出会いが待っているはずです。

河内長野の歴史や文化財を楽しく学べる!「ふるさと歴史学習館」へのアクセス

河内長野市立ふるさと歴史学習館

〒586-0036 大阪府河内長野市高向2230−5
TEL 0721-64-1560 ※歴史体験の予約はこちらへ!

〈アクセス方法〉
電車・バス利用
南海高野線・近鉄長野線「河内長野」駅から
 ●南海バス「滝畑ダム」行きに乗車
  「奥河内くろまろの郷」バス停下車 約500m
 ●南海バス「高向」または「滝畑ダム」行きに乗車
  「中高向」バス停下車 約850m

車でのアクセス
「ふるさと歴史学習館」敷地内に駐車場あり!
近くには、「奥河内くろまろの郷」や「花の文化園」「木根館」など楽しい施設がいっぱい!

〈ご利用案内〉
開館時間 午前9時〜午後5時
休館日  祝日以外の月曜日/祝日の翌日(土日を除く)※ゴールデンウィーク期間を除く/
     年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料  無料

その他情報は、ふるさと歴史学習館のホームページ(​​ https://www.city.kawachinagano.lg.jp/soshiki/58/ )やInstagram(@kawachinagano_citymuseum)でご確認ください!

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    未来*Miku
    未来*Miku

    生まれも育ちも南大阪!結婚を機に河内長野市から堺市に移住した私が感じる南大阪&南海沿線のスキを発信していきます。「行ってみたい」「やってみたい」のきっかけになる楽しい情報をお届けできれば嬉しいです。

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