「泉北ニュータウン」は、泉北線「泉ケ丘」「栂・美木多」「光明池」の3駅の周りを中心に開発された大阪府堺市南区にあるまちです。泉北ニュータウンは大阪市内中心部から電車で約25分という都会でありながら、緑道や公園など豊かな自然があふれるまち。そんな泉北ニュータウンの総住宅数の約50%を占めるのが団地(府営住宅、府公社賃貸住宅、UR賃貸住宅)です。
今回は、南海電鉄地域発見クリエイターズ課のなかつじとYouが「泉北桃山台一丁団地」と「茶山台団地」に潜入取材!団地内で地域コミュニティを作り、活動するみなさんにお話をきいてきました。
「ももポート」は、栂・美木多駅からほど近い泉北桃山台一丁団地の集会所に2021年3月にOPENしたコミュニティスペースです。団地や地域に寄り添った取り組みやサービスの創出をめざして、地域の方々が主体となり、集う場・楽しむ場・活躍する場づくりを行なっています。なるべく”お店っぽくならないように”ということを意識し作られたスペースは、まるでお家のリビングのようで、利用される方が自然体で過ごせるよう配慮されています。そんな「ももポート」で実施されている取り組みをご紹介します。
ももポートの中にある「子育てサポートビバーク」では毎週水曜日にワンコイン(¥500)で食べられる「ともしょくランチ」を提供しています。「まごわやさしい」(豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけの頭文字が由来です!)の食材をふんだんに使用し、栄養バランスの取れた食事が提供されています。
育児に奮闘するママたちは、普段どんな食事をとっているでしょうか?子どもたちの残り物を食べたり、キッチンに立ったまま食べたり、そんな食事をとっているママたちは少なくないはず。そんなママたちに「健康的な食事をとってほしい」「自分の体を大切にする時間を作ってほしい」という想いで「ともしょくランチ」は提供されています。実際に私も頂いてみましたが、やさしい味付けと品数の豊富なランチでとても美味しかったです!
テーブルを囲んで家族や友人と一緒に食べている方もいました。私は、カウンター越しに調理されている方とおしゃべりしながら食事をいただいて、お腹だけでなく、心も満たされる時間を過ごすことができました。スタッフの方に、鶏胸肉をやわらかく食べる調理法を聞いて、早速お家でも子どもたちに作ってみたくなりました!
「子育てサポートビバーク」では、一時預かりも実施しています。0歳児~小学生までのお子さんを先輩ママが預かってくれるので、子育て世帯にとっても嬉しい取り組みです。
一時預かりの時間は1時間から最大3時間。団地内で人気のサービスで、ママたちはこんな時に利用しているそうです。
・ママのリフレッシュ
・兄姉の参観日、懇談会などの行事の時
・ママの就職活動の時
・育休から職場復帰する直前等
私は、第1子が0歳の時に就職活動をした経験がありますが、抱っこ紐で子どもを揺らしながらの就活は大変でした。第2子出産後は、育休を取得、その後職場へ復帰したのですが、その時も大変でした。産後で体型が変化し、職場に着ていく服がない!毎日の育児で、髪の毛はボサボサ!衣料品を買いに行ったり美容院に行ったり、育休明けはやらなければならないことがたくさんあります。そんな時に、気軽に短時間子どもを預かってくれるビバークのような場所があったら良かったなぁとお話を聞いて思いました。
子育てサポートビバーク
「ももポート」内
TEL:090-3265-4354
MAIL:momobivourac@gmail.com
・毎週水曜日 9:00〜18:00
・1時間¥500 最大3時間
・同時に預かれるのは3人まで
・要事前予約
運営:NPO法人すまいるセンター
(〒590-0141大阪府堺市南区桃山台2-3-4)
実際に「ももポート」を利用しているママ(2才児・5才児ふたりの子育て中)にお話を聞きました。
You)ももポートを利用するようになったきっかけはなんですか?
移住者さん)知人から、子ども向けのイベントを教えてもらったことがきっかけで、「ももポート」を知りました。はじめて行ってみると、スタッフの方が「いらっしゃーい、楽しんでいってねー!」と声をかけてくれて、子どもたちも楽しく遊んでる様子を見て、来てよかったなと思いました。
You)ももポートをどのように利用されていますか?
移住者さん)子育てサポートビバークさんでお世話になっています。時々子どもたちを連れていって一緒に遊んだり、ランチを一緒に食べたりしています。周りを気にしないで子どもと一緒にランチが食べられるので助かっています。また、スタッフの方々にはよく悩みを聞いてもらい、アドバイスをいただいています。
You)泉北ニュータウンでの子育ての魅力を教えてください。
移住者さん)泉北は、子育てがしやすい地域だと思います。子育てで悩んだりした際は、悩みを聞いてくれたり気にかけてくれたりしてくれる方々がたくさんいてくれます。公園もたくさんあるので、子どもにとっても、良い環境だと思います。散歩している時に、声をかけてくださるご年配の方もいてくれます。2人目を妊娠中に上の子が急に走り出して追いかけられなかった時、上の子に声をかけて止めて追いつくまで一緒にいてくれた方や、「元気な子どもを生んでね!」と声をかけてくれた方もいて嬉しかったことを今でも覚えています。子どもに優しい地域だと思うので、子育て世帯にはぜひオススメしたいです。
ももポートで子ども一時預かり子育てサポートビバークなどを実施している小林さん(福泉中央自治会長)と、UR都市機構の田邉さんに、ももポートの魅力をインタビューしました。
自分自身が子育てする中で、子どもの学校のPTA活動を通して、周りのママさんと知り合いになっていきました。それから、それまでフルタイムで働いていて大変に感じることもあった子育てが、どんどんと楽しくなっていったんです。「1人で子育てするより、みんなで子育てする方が楽しいなぁ」そう強く感じました。現在は、この楽しさを、より多くのママさんたちに知ってほしいと思い、コミュニティ作りの活動をしています。ももポートもその1つです。ももポートで知り合ったママさん同士に交流が生まれて、近くの西原公園へ遊びに行っていたり…あるママさんはももポート運営のスタッフになって活躍していたり…。活動をしていて、ママさんが「新しいことにチャレンジしてみよう」という姿が見えた時、私自身が一番やりがいを感じています。
泉北ニュータウンは、とてもオープンなまちだと思います。「ももポート」をはじめ新しい取り組みが盛んに行われていて、移住者の方も多く住んでいます。また、女性がとても元気なまちです!堺市南区の19ある校区自治会のうち、3分の1以上が女性の自治会長です。これは他のまちでは珍しいことなんですよ。移住されるママたちが、地域や団地のつながりを通して、自分らしさや自分のやりたいことを見つけてほしいなと思っています。
ももポート
UR泉北桃山台一丁団地内
〒590-0141 大阪府堺市南区桃山台1丁3-13
泉北線「栂・美木多駅」徒歩6分
続いて向かったのは、茶山台団地の集会所にある「茶山台としょかん」です。「茶山台としょかん」は団地の集会所を活用して、地域のコミュニティづくりの拠点となっています。
「茶山台としょかん」には壁一面にたくさんの本が並んでいます。それらはすべて利用者の方々が読まなくなり、寄付された本です。小さなお子さんを連れたママが立ち寄って絵本を読み聞かせしたり、お年寄りが立ち寄って読書の時間を楽しんだり。本を通じて、老若男女問わず、地域の方々が気軽に立ち寄ることができる場所となっています。また、小中学生のお子さんが放課後過ごすスペースにもなっています。宿題をしたり、お友だちとの待ち合わせスポットとして利用して、そこから近くの公園へ遊びに行ったりしています。地域にくらす人たちのサードプレイスとなっています。
そんな「茶山台としょかん」でのイベントをいくつかご紹介します。
自分では使わなくなったものを、みんなで持ち寄りおすそわけ。地域住民の交流の場となっています。外壁や本棚も、みんなでペイントしたり、廃材を再利用したりして作られています。
毎月恒例の一人一品持ち寄りの晩ごはん会。団地内の方はもちろん、団地外の方もどなたでも参加可能。1月には新年会で盛り上がったようですよ〜!
茶山台としょかんのスタッフ、通称”としょ係”をつとめる藤井さん(NPO法人SEIN)に、茶山台としょかんの魅力についてインタビューしました。
茶山台としょかんの一番の魅力は、年齢に関係なく、また年齢を気にすることなく、人と人とが集まれることだと思います。紹介したように様々な取り組みを実施していますが、どの取り組みにも赤ちゃんから高齢者の方まで、幅広い年代の方々が参加しています。普段なかなか知り合えない年代の方々と、知り合えることで、お互いがお互いを見守ることができ、泉北でのくらしに安心が生まれています。子どもたちも、高齢者の方も、「ここに来たら、だれかがいるから」そんな気持ちで過ごしています。
茶山台としょかんは、スタッフや地域ボランティアの方によって運営しています。スタッフの中には、実際に堺市外や県外から移住してきた方もいるんですよ。移住を検討していた時に、茶山台としょかんのSNSを見て「ここなら楽しく暮らせそう!」と思って移住を決意。その方は引っ越ししたその日に茶山台としょかんに足を運んでくれ、今では「としょ係」として活躍しています。移住をした時は、ちょうどお子さんが小学校に入学する前で、親も子も知っている人がおらず、新しい環境になじめるか不安に思っていました。でも、「茶山台としょかん」で育まれたコミュニティのおかげで、小学校入学前に子どもにはお友だちができ、親も小学校生活の情報を得ることができ、安心してスタートすることができました。
移住を決めるまで悩んだりするかと思いますが、移住は移住してからがスタートだと考えます。まず自分の地域のいろいろな場所へ足を運んでみてください。泉北ニュータウン内の団地にもぜひ来てみてほしいです。たくさんの楽しみに出会えることと思います。また、茶山台団地の周りには、堺市立ビッグバンや大蓮公園など、子どもと遊べる場所があります。他にも、ケーキ屋さんや穴場カフェなどもたくさんあるので、ぜひご家族で遊びに行ってみてくださいね!
「孤育て」という言葉を聞いたことがありますか?親や親族の協力を得られず、近所との付き合いがなく、母親や父親が孤立した中で子育てをしている状態のことをいいます。私は第一子出産後、まさにこの状態でした。今回の取材を通して泉北ニュータウンのコミュニティを知り、スタッフの方々とお話をしていく中で、「私もこんな多彩なコミュニティが魅力的なまちで子育てしたかったなぁ」と感じました。スタッフの方々とは初対面でしたが、どの方もやさしくお話してくれました。取材の時間はわずかでしたが、アットホームなコミュニティで居心地が良かったです。泉北ニュータウンへ移住してくる方も、きっと同じような気持ちになることと思います。このまちで子育てをスタートしてみませんか?
インタビューアー・ライター:You
撮影者:なかつじ
※2025年4月、「泉北高速鉄道」は「南海電鉄泉北線」となります。定期・普通運賃を大幅に値下げし、泉北ニュータウンエリアがますます住みやすくなります!詳しくは、コチラをご覧ください。
堺市在住10年目の2児の母です。移住者ママ視点から、子供も大人も楽しめるお出かけ先を発信していきます。アウトドアブームに乗り、家族でキャンプにはまっています。
堺市在住10年目の2児の母です。移住者ママ視点から、子供も大人も楽しめるお出かけ先を発信していきます。アウトドアブームに乗り、家族でキャンプにはまっています。