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採れたて有機野菜を畑から食卓へ。「百姓の嫁」になった中塚菜津美さんに聞く今の暮らしと想い【笑ノ百姓】

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たなやん
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watch 2023.5.24

南海電鉄地域発見クリエイターズ課のたなやんです。クリエイターズ課のヒト・地元自慢プロジェクトとして、私の住むまち「大阪・富田林市」で活躍する農家、笑ノ百姓さんをご紹介します。

「毎日食べるものだから、食材にはこだわりたい。安全で美味しい野菜を選びたい。」

そう考えている主婦の方はとても多いと思います。

笑ノ百姓は、無化学肥料・無農薬栽培に取り組む有機農家です。夫婦二人三脚でつくる愛情たっぷりの有機野菜がおいしいと、南河内を中心にすでに多くのファンを獲得しています。(かくゆう私もそのひとり)

「百姓(主人)が作った安心安全な野菜を多くの人に食べてもらいたい。」

と、家事・育児や野菜の生産の傍ら、インスタグラムを駆使して販促活動を行う百姓の嫁:中塚菜津美さんにお話をうかがいました。

「人」とのつながりが生む軌跡

中塚和典さん(左)菜津美さん(右)

新規就農から今年で5年。着実に成長を遂げる笑ノ百姓さんですが、その成長には地道な努力に加え、消費者や農家さんなど様々な人とのつながりが大きな影響を与えています。

農家への転身ストーリー、就農してからの紆余曲折、農家の暮らしなどを聞いてみました。

会社員だった夫が農家に転身!新規就農ストーリー

ーー:農家へ転身した経緯やストーリーを教えてください。

菜津美さん:きっかけは家庭菜園です。家の近くでたまたま小さな畑を借りることができたので、家庭菜園で野菜を育てたら主人がハマって…。(野菜作りに)目覚めた主人が「農業を仕事にしたい」ということで方向転換しました。

ーー:夫の新規就農に不安や迷いなどはありませんでしたか?

菜津美さん:それはなかったんですよ。不安……すべてないって言ったらあれですけど(笑)、生活できなくなるとか、農業で失敗したらどうしよう、とかは全然なかったです。主人も私もお互いにやりたい仕事をするスタイルだったので反対することもありませんでした。

ーー:迷いなく応援できるってすごいですね!

菜津美さん:よく言われます(笑)

それから主人が、農業塾に1年間通って農業の技術というか農業がどういうものなのかっていうのを勉強しながら、家庭菜園でも試したりしていました。

あとは農家さんと繋がって、農業に入るための土台づくりみたいな感じで動いてましたね。

ーー:農家さんとの繋がりも大切なんですね。

菜津美さん:そうなんです。最初は土地がなかなか見つからなかったんですけど、研修が終わったタイミングで農業塾を運営している1人の方から「畑を4枚※ 借りられる話があるけど、どうする?」と話をいただいて。(※「枚」は田畑を数える語)

ーー:農業って広い土地が必要ですもんね。4枚から今はもっと増えたんですか?

菜津美さん:「うちの土地も使う?」と周りの地主さんに声をかけていただいたり、高齢な農家さんから託される土地も増えて、今では25枚くらいまで増えています。

ーー:すごい!笑ノ百姓さんの活動を見て、熱意が伝わったんですね。
   でもそれだけ畑が増えて、どうやって仕事を回しているんですか?

菜津美さん:回ってないですよー(笑)

就農してしばらくはパートを掛け持ちしていたんですが、私も出荷準備や畑の作業などの手伝いをすることも多くて、パートを辞めて農業の方に力を注いだほうが、自分にも家族にもメリットがあると思い、思い切って転身しました。

無農薬で少量多品目を栽培し、野菜セットを配達

ーー:就農当初から野菜セットを販売するスタイルだったんですか?

菜津美さん:就農して初めのうちは産直市場やスーパーなどに卸していました。だけど、うちの有機野菜の付加価値をつけれなかったというか…。

やっぱり化成肥料を使っている野菜の方が立派できれいなので、直売所に出しても有機の価値を分かってくれている人は買ってはくれるんですけど…、多くはそうじゃなくて。

ーー:いろいろと苦労も多かったんですね。

菜津美さん:付加価値をつけて販売することができなかったり、作付け通りに野菜ができないなど、主人のメンタルに気を遣うことが多かったことには苦労しました。

直売所の野菜。スーパーではあまり見かけない野菜には、調理方法などを記しています。

菜津美さん:そんなときに私が就農前から行っていたカフェや珈琲屋さんに「うちの店の前で売ったらどうか?」っていう話をいただいて、「軒先マルシェ」としてお店の店頭やイベントなどで野菜を直売していました。

そのとき思ったんです。「もしかして自分たちで売ってもいけるんじゃないか」って。

そうそう、それでカフェの前で販売しているときにお客さんから「時間内に買いに行けないから、おまかせで1,500円の野菜を詰めて置いておいてほしい」っていう依頼がきて「あ、セットや。」って思いました(笑)

ーー:ピンときたんですね!

菜津美さん:主人の前職が配達の仕事だったんで、近隣の地域にセット野菜を配達するようになったんです。

そこから本格的に野菜セットでいこうと決めて、すでに野菜セットを販売していた「べじたぶるぱーく」さんに話を聞きに行きました。どうやって野菜セットを1年間組んでやってるのかを聞いて、そこから畑の作付けをガラッと変えましたね。

ーー:直接、農家さんにコンタクトをとったりと行動力がすごいです。
   人との繋がりやこれまでの経験を活かして、今があるんですね。

菜津美さん、百姓の嫁としての一日

筆者の娘と菜津美さん。耕す前の畑に残っていたニンジンを収穫

2児のお母さんであり、農作業や直売所にマルシェ出店と日々忙しく過ごす菜津美さんの一日の動きについて聞いてみました。

菜津美さんの一日のタイムスケジュール

6:00  起床。お弁当と朝ごはんづくり、身支度
7:00  事務仕事
7:30  散歩
8:00  読書・コーヒー
8:30 自宅を出発、畑へ向かう
9:00  始業
17:30 仕事終了。帰宅
18:00 事務作業
18:30 夕飯の支度やお風呂など
19:30 食事 団欒
21:30 就寝

菜津美さん:これは上手くいったときのスケジュールです(笑)

ーー:(笑)
   私(筆者)の実家も農家で、小さい頃から働いている家族を見てきましたが、農家さんて忙しいし休みないですよね。

菜津美さん:ないですよねぇ(笑)マルシェから帰ってきても作業したり…、日曜日は極力家にいるようにはしたいけど、どうしても忙しくて働くときもあります。

しなければいけないことが本当に多くて、ストレスも溜まるし解消する時間すらないときもあるけど、野菜を手に取ってくれるお客さんや、笑ノ百姓に関わってくださる方との交流がいつの間にかなくてはならないものになっています。

ーー:菜津美さんは2児の母ということですが、農業と子育ての両立は大変ですか?

菜津美さん:自営業なので、子どもが休みのときの対応や参観などの学校行事は遠慮なく参加できるので、両立はしやすいと思います。

ただ、生活の中心が農業になるので、子どもたちと遠くへ遊びに行ったり小旅行へ行くことはなくなりました。

農業をする前は、主人は子どもと関わる時間があまりなかったこともあり、今の方がタスクが多く忙しいですが、過ごしたい時間を過ごせていると思います。

ーー:現在、大阪狭山市に住まれていて、お仕事で富田林にこられているんですよね?

菜津美さん:はい、そうです。子どもがまだ1〜2歳のときに、大阪市内から大阪狭山市へ引っ越してきました。大阪市内に住んでいるときから、大阪狭山や富田林へ遊びに来ることが多かったです。

子育て支援センターや図書館を活用したり、広い公園で遊んだり産直市場に買い物に行ったりと、南河内での生活を子どもも大人も一緒に楽しんでいます。

初めて見た白いニンジン

食卓においしい野菜と笑顔を届けたい。

ーー:今後の展望を教えてください。

菜津美さん:とにかく農業を糧に生活し続けていくこと。

無農薬で生産することは、実らないかもしれないリスクもあります。そんな中、実ったときの感動と味は何にも代え難いものです。

野菜作りは主人に、畑と食卓をつなげることは嫁(私)が、それぞれの役割をつづけていけたらいいなと思っています。

そして、笑ノ百姓を通して美味しい野菜をたくさん知ってもらい、食卓がお野菜で「にやっ」とする瞬間が生まれたら嬉しいです。

(インタビューはここまで)

SNSでつながる、直売所やマルシェでつながる。

菜津美さんは「笑ノ百姓」の野菜の魅力を多くの人に知ってもらおうと、普段からSNS発信に力を入れています。

野菜の生育状況や農家の仕事の様子、直売所やマルシェ情報、旬の野菜や美味しい食べ方などをインスタグラムで毎日配信。

農家が個人に野菜を配達・販売するスタイルをとっている笑ノ百姓だからこそ、SNS発信が農家と消費者の距離を縮め、自分たちのことをもっと知ってもらい、好きになってもらうきっかけとなっていることは確かなようです。

【畑の直売コーナー】
毎週火曜と金曜 13:00〜15:00
毎週土曜 9:00〜16:00は無人販売

【LIFE is PARK 大蓮公園】
毎週水曜日には、堺市南区にある大蓮公園のマルシェ、Life Is Park ( @lifeispark )へ出店しています
10:00〜13:00

【野菜セット出荷日】
毎週火曜と金曜に、旬の野菜セットを配達しています。LINEでも注文可
配達範囲…富田林市、大阪狭山市、羽曳野市、河内長野市、堺市南区 

委託便(ビバベジ便)で毎週金曜に天王寺区、東住吉区、阿倍野区、住吉区、平野区、生野区へも配達可能です。

笑ノ百姓・中塚菜津美さんへのインタビューを終えて

新規就農から現在まで経緯や暮らしを丁寧に答えてくださった菜津美さん。

温かい人とのつながりを大切にし、畑と食卓を「つなぐ」ことを意識して、
夫婦で誠心誠意努めているからこそ笑ノ百姓の野菜が多くの方に愛されているのだと感じました。

私(筆者)は子どもが生まれたことで改めて食に関心を持ち、インスタグラムをきっかけに笑ノ百姓さんを知りました。

今ではその野菜の美味しさにハマり、我が家の「マイ農家」だと思っています。

とれたて新鮮、行くたび・届くたびのワクワク感、そして作り手が見える安心感。

豊かな自然に恵まれた富田林だからこそ味わうことのできる笑ノ百姓のおいしい有機野菜。ぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。

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    結婚を機に南河内に移住。ブログやSNSで、「グルメ・レジャー・子どもの遊び場」を中心に南河内の魅力をママ目線で発信しています。
    南海沿線の知られざる魅惑のスポットを開拓してホットな情報をお届けします!

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